高木仁三郎市民科学基金
第21期(2022年度)国内枠調査研究助成
書類選考通過者の調査研究計画概要(受付番号順)
第21期(2022年度)国内枠調査研究助成
書類選考通過者の調査研究計画概要(受付番号順)
(下記は、それぞれの応募者の助成申込書から概要のみを転載したものです。)
応募者名 | 山室 真澄さん | 応募金額 | 100万円 |
テ ー マ | 水道水のネオニコチノイド濃度の全国調査 | ||
概 要 |
欧米では人の脳への影響などから使用が禁止・制限されているネオニコチノイド系殺虫剤(以下、ネオニコ)は、日本では逆に規制が緩和されている。 |
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グループ名 代表者名 |
R.I.La 尾崎 美佐子さん |
応募金額 | 88万円 |
テ ー マ | 多摩川源流域におけるマイクロプラスチック汚染調査 | ||
概 要 |
多摩川の源流部である丹波山水系の源流部定点観測地点と源流部支流最上部において、渓流魚をマーカーとして河川のマイクロプラスチック汚染の状況を調査する。現在までの調査では、多摩川中流域、多摩川上流域、多摩川源流域と調査を実施してきたが、いずれも検体として採取した魚類からマイクロプラスチックの検出か見られた。調査前の情報では、河川のマイクロプラスチック汚染は、その原因が中流域に致するまず再処理センターからの排水に含有する家庭の洗濯排水内の化繊(プラスチック繊維)の剥がれによる繊維状のプラスチックであるとされていた。中流部の水再処理センター排水口下流域の調査では、学説通り検体として捕獲したオイカワ50匹中49匹からマイクロプラスチックの検出を見た。その結果を受けて翌年から水再処理センターよりも上流域並びに、魚の上下動が不可能な魚止めとしての小河内ダムの上流域において中流域と同様に魚類をマーカーとして調査をした結果、小河内ダムよりも上流に位置する丹波山水系においても、捕獲した全てのマーカーからマイクロプラスチックを検出する、という結果を得た。これは多摩川の源流部を含むすべての流域に水再処理センターの排水以外の汚染源を存在することを示唆している。また、検出されたマイクロプラスチックの形状、色、大きさなどから、当該汚染源が繊維状のプラスチックであり、上流に行く程汚染が強くなることなどから、山間部の道路工事や河川工事などで多く使用する土留めネットや土嚢などのプラスチック製品が汚染源として疑われる結果となった。そこで2022年度からは、丹波山水系の代表的地点を定点観測地点としての調査をすると共に、丹波山水系の支流の更に源流部の人工物の無いに立ち入り、調査を実施することで、2021年までに得られた推測を実証するための調査を実施するものとした。 |
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グループ名 代表者名 | 西舘 崇さん | 応募金額 | 47万円 |
テ ー マ | 使用済核燃料の中間貯蔵施を巡るむつ市政20年の展開と住民運動についての研究 | ||
概 要 |
本研究は、使用済核燃料の中間貯蔵施設を巡る青森県むつ市政のあり方を住民側の立場から検討するものである。対象とする期間は、同施設の受け入れが表面化した2000年から現在までのおよそ20年間とする。 |
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グループ名 代表者名 |
木質バイオマス発電チェック市民会議 川端 眞由美さん |
応募金額 | 20万円 |
テ ー マ | 長野県東信地域の放射能汚染木燃焼による環境汚染を監視する | ||
概 要 |
長野県東御市の中心市街地を望む河岸段丘上の工業団地に木質バイオマス発電所・信州ウッドパワー鰍ェ建設され、2020年7月15日稼働を開始した。 企業が30キロ圏内とする集材圏には福島原発事故で放射性物質が沈着した軽井沢周辺が含まれるが、市は汚染木の燃焼の危険性を認識せずに企業誘致を行い、市民に計画の説明を行わなかった。 |
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グループ名 代表者名 |
森里海を結ぶフォーラム 田中 克さん |
応募金額 | 100万円 |
テ ー マ | 絶滅危惧種ニホンウナギと共生する地域社会を拓く水生生物調査査 | ||
概 要 |
森里海が密接につながった"宝の海"から、大規模環境改変の連鎖により、つながりが分断されて瀕死の海に至った有明海周辺では、海とともに生きてきた地域社会を崩壊に至らしめた。漁民はもとより、干拓地に入植した農民、諍いの町となった市民、誰も幸せにできなかった国営諫早湾干拓事業の検証が求められる。 |
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グループ名 代表者名 |
沖縄京都PFAS 研究グループ
徳田 安春さん |
応募金額 | 100万円 |
テ ー マ |
沖縄県の人々における血中の残留性有機汚染物質 (PFAS)濃度と SARS-CoV2 ワクチン中和抗体価との負の関連 | ||
概 要 |
PFOS、PFOA、PFNAなどのPerfluoroalkyl substances (PFAS)への曝露と免疫機能低下との関連性を示す研究はいくつかある。PFAS曝露は日本人においてすでに広がっているが、免疫機能低下と血中PFAS濃度の関連について日本人を対象にした研究はまだない。PFASは地域住民の生活にとって重要な飲料水に含まれる残留性環境汚染物質であり、健康影響を調べることは大切である。中でも、新型コロナウイルス感染症は沖縄での感染拡大を何度も繰り返しており、この物質の関与を調査することで、直ちに曝露を減らすなどの予防対策をとる必要性が明らかになる。今回の研究は、昨年度に行った横断研究によって得られた採血検体を用いて、新型コロナウイルスワクチン接種後の中和抗体価の測定を行う。血中PFAS濃度は京都大学の共同研究者の施設において現在測定されている途中である。データについては、多変量線型回帰モデル分析を行い、交絡因子を調整した上で、PFAS血中濃度と中和抗体価との関連を解析する。PFAS血中濃度と免疫機能低下との関連を認めた際には、PFAS曝露を最小限にするための政策介入を行うよう自治体等へ働きかけを行うエビデンスとして研究結果を活用する。
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グループ名 代表者名 |
あびらの自然を守る会 内藤 圭子さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ |
北海道庁が許可した産業廃棄物処分場計画の許可プロセスの見直しと 地域環境リスク評価に関する調査研究 | ||
概 要 |
2020.11.13の企業が開いた町民向けの説明会で近くに産業廃棄物処分場の計画がある事、北海道の許可がすでに出ていることを知り反対運動を始めました。 |
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グループ名 代表者名 | 千葉 茂樹さん | 応募金額 | 84万円 |
テ ー マ | 福島第一原発事故による放射性物質の汚染−生活圏の汚染の調査と記録− | ||
概 要 |
申請者は、2011年3月の福島第一原発事故による福島県内の汚染状況を調査し、論文・学会機関紙・ネット配信ニュース・講演会で公表してきた。これらは、すべて自費で行ってきた。講演会以外は、こちらで閲覧できる。http://www.wattandedison.com/Chiba2.html |
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グループ名 代表者名 |
外環振動・低周波音調査会 上田昌文さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ |
外環道大深度工事で発生した振動・騒音・低周波音による 被害の実態把握とそれへの対策に関する調査 | ||
概 要 |
2020年10月18日に調布市で起こった、東京外環道トンネル工事に伴う陥没事故を機に、周辺地域では被害と補償をめぐって、さらには今後の工事の継続をめぐって、事業者(国土交通省、NEXCO東日本、NEXCO中日本)が、これまでに住民が納得できる調査や情報提供を行ってこなかったことからくる様々な問題が噴出している。2021年の高木基金の助成を受けて、市民科学研究室が被害者住民らと共同で「外環振動・低周波音調査会」を立ち上げ、地盤・地質、振動・騒音、そして環境センシングの分野の専門家の協力を取り付けつつ、まず、振動・低周波音被害の実態調査を実施した。その結果をふまえて、シールドマシンによる掘進が進行・再開されているエリア(外環道の練馬エリア、横浜環状南線エリアなど)を含めて、地下工事から発生する振動を常時モニタリングする必要を痛感し、簡易な振動計(既存の振動加速度センサーのアプリケーションを改良して中古iPhoneに装備したもの)を、個々の住宅に設置して、Wi-Fiを用いてデータを自動記録するシステムを開発した。さらに、建物に生じた損壊について、事業者はトンネル直上とその周辺のみ限定して個別に補修するという対応しか行っていないが、これでは建物被害の全貌は把握できない。そこで調査会では4月から1件1件を巡りながらその損壊の状態を記録していく活動に着手した。今後、リニア中央新幹線を含めて大深度地下工事で発生する恐れのある、振動・低周波音に起因する種々の被害を防ぐためには、各エリアの住民が連携をとりつつ、事業者らにこうした調査を行わせるよう主導しなければならないが、本調査はその必要性と具体的手法を科学的データによって明示するものとなる。
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グループ名 代表者名 |
JVC南スーダンチーム 今井高樹さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ | 南スーダンの石油施設による汚染の住民影響調査 | ||
概 要 |
2011年に独立した南スーダンは中規模の産油国として国家財政の大半を原油収入に頼っている。原油の漏出や廃棄物の不適切な処理、内戦による施設の破壊や放棄が原因となり、大気、土壌、表層水及び地下水が広範囲にわたって有害物質により汚染され、周辺環境や家畜、人体への影響が地元住民やメディアにより指摘されてきた。流産・死産の増加、奇形出産の報告も多い。さらに、2019年から3年間にわたり続く大規模な洪水が有害物質を拡散させた可能性もある。南スーダン政府はこの問題を知りながらも対処を怠ってきた。紛争が続いてきた同国で人道支援を行っている国連機関や国際NGOも「自組織の責任範囲外」として有効な対応ができていない。限られたNGOや独立の研究者による先行調査はあるものの、個々バラバラの研究にとどまっている。 |
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グループ名 代表者名 |
いわき放射能市民測定室たらちね 鈴木 薫さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ |
たらちね海洋調査 〜東京電力福島第一原発周辺海域における 海水のトリチウム濃度の測定と記録〜 A | ||
概 要 |
2021年4月13日、政府は関係閣僚等会議において、東京電力福島第一原発で発生し、ALPS等によって処理した上でタンクに貯蔵されている汚染水の海洋放出を、2023年の春を目処に実施することを決定した。これを受けて東京電力は、海洋放出に向けた準備を着々と進め、2022年4月には、原子力規制委員会の認可も、県や地元自治体の了解も得ないまま、放出へ海底トンネル出口の整備工事に着手した。東京電力は地元漁業者と「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束しているが、市民や漁業者が反対の声を挙げているにもかかわらず、既成事実を積み上げて、海洋放出を強行してくる見込みだ。 |
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グループ名 代表者名 |
福島老朽原発を考える会(フクロウの会) 青木一政さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ | 福島原発事故による放射能汚染地域に住む住民の尿検査による内部被ばく実態調査 | ||
概 要 |
我々は2017〜2020年にかけて南相馬20ミリ基準撤回訴訟原告を対象者として尿検査による内部被ばく実態調査を行った。この結果、南相馬市原町区北西部に住む住民は比較対象である西日本住民と比べ明らかに内部被ばくをしている実態が明らかになった。しかし該当調査から既に2年以上経過している。同被検者を対象として、その後の状況を明らかにする。 |
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グループ名 代表者名 |
たまあじさいの会 古澤省吾さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ |
田村バイオマス発電所の稼働開始による周辺への放射性物質汚染の計測と その記録結果の拡散 | ||
概 要 |
2021年3月より試験稼働を始めた福島県田村市大越地区のバイオマス発電所は、『自然との調和、地域住民との共生を基調として、環境負荷の低減を前提とした資源循環型社会への貢献を目指す』とされているものの、地元住民は、このバイオマス発電所が福島県内の放射能汚染木を燃やすことで、周辺環境への放射能拡散を懸念して、『大越町の環境を守る会』を立ち上げ反対運動や提訴をしてきた。しかし同施設の操業が押し切られる形で始まって1年が経過した。田村市は市のHPにて、『通常使用されるバグフィルタと呼ばれる集塵装置に加え、安心対策として高性能のHEPAフィルタも設置することになりました。燃料から排気、焼却灰、排水に至るまで、周辺に放射能の影響が出ることはありません』と明言しているものの、高木基金の助成を受けて昨年8月から調査により異常は明らかに見れる。本調査の目的は、同発電所の操業に起因する放射性物質の汚染の進行がないかを住民と協力して、執拗に徹底的にフィールドワークでの観測を行う。発電所周辺から大越地区全域にかけて@リネン布を毎年2〜3回、20箇所ほど仕掛けて、大気中の放射性物質の浮遊を捕捉する。A地元住民がラジログにて随時17か所の空間線量の定点観測を行うB Hot Spot Finder (HSF) にての空間線量をGoogle Map上に記録し、また風力・風速計を2箇所に設置し、大気の流れをマクロに把握して因果関係を解明するC原子力規制庁のモニタリングポストのデータの解析。これらにより汚染が実際に生じていることの実態を科学的、客観的に記録し証明する。
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グループ名 代表者名 |
原子力資料情報室 高野 聡さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ |
NUMOによる文献調査と対話の場の問題点と それに抵抗する寿都町を中心とした北海道民の住民運動に関する研究 | ||
概 要 |
2020年から寿都町と神恵内村で核廃棄物処分場選定に関する文献調査が進行している。特に寿都町では応募の是非を問う住民投票が拒否され、NUMOが行う「対話の場」を通じた住民への懐柔策に反発する住民も多い。しかし反対派住民の意見や苦悩が一般社会のみならず、脱原発団体にもあまり共有されていない現状がある。それに対し、本研究は寿都町住民に対するデプスインタビューを実施し、住民の主張やNUMOへの不信の理由を明らかにする。それによりNUMOが主導する対話の場が不公正で非民主的であり、行政の無責任さを露呈している事実を検証する。また反対派住民とともに問題の改善を考え、NUMOに対抗する住民主導の公論形成と地域運動に役立つ知識の創造も目指す。 |
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