高木仁三郎市民科学基金 委託研究 (2006年度〜継続中)
「地震と原発」 |
委託先名:原子力資料情報室 代表者名:山口 幸夫 委託金額:200万円 研究概要:2006年10月の高木基金だよりから 途中経過:・2006年12月の中間報告書
・2007年7月15日「地震と原発」研究の中間報告会を開催
・2007年8月7日 新潟県中越沖地震を受け、新潟県庁で 記者会見し、柏崎刈羽原発の「廃炉」を求める。 ★「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」のサイトはこちらから どうぞ。 委託先のウェブサイト:http://cnic.jp |
委託研究の概要 : 高木基金だより No.14から <2006年11月> | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
< この部分は、高木基金としての委託研究の主旨を、事務局がまとめたものです。>
1.研究の背景 2006年9月、国は、原発の「耐震設計審査指針」を25年ぶりに改訂しました。 この間、志賀原発2号機訴訟においては、原発の耐震性の問題が、原発運転を差し止める判決の大きな理由となり、また中国電力の島根原発3 号機の増設に際しては、電力会社が「活断層はない」と主張し、国が許可した後に、実際に活断層の存在が実証され、電力会社や国の主張する「耐震安全性」への不信が高まりました。中部電力浜岡原発については、予想される東海地震に、本当に耐えられるのかという不安がつきません。東北電力の女川原発では、2005年8月に、実際に想定を上回る地震動に見舞われ、原発が自動停止する事態も発生しました。 今回の「耐震設計審査指針」改訂は、このような不安と疑問に応えるべき、絶好の機会であり、「指針案」に寄せられた700件を超えるパブリックコメントの中で、重要な論点は出尽くしていましたが、それらの意見はほとんど無視され、最終的な「新指針」は極めてあいまいなものとなりました。 志賀、浜岡などでの原発訴訟でも、まさに地震と原発の問題が重要な争点となっており、「耐震指針検討分科会」での議論やパブリックコメントを再検証することで、「地震と原発」の問題を明らかにすることが、緊急かつ重要な課題であると考え、高木基金は、下記の通り、この問題に、委託研究として取り組むこととしました。 この研究は、既設の55基の原発、六ヶ所核燃料サイクル施設、および、これから建設される原発と核施設等の地震に対する危険性を科学的に明らかにすることをねらいとし、具体的には、主に次の3 つの課題に取り組みます。 研究グループは、原子力資料情報室を中心に、「新耐震指針」の検討分科会に参加していた石橋教授など、土木
工学、地震学などの専門家で組織します。
4.当面の予定 前記2.(1)の通り、「新耐震指針」の問題点を整理した報告書を作成し、年度内に発表の場を設ける予定。 本研究には、現地調査および研究会議に要する旅費など、当面、215万円の支出を見込んでいます。
高木基金としては、一口2,000円の「市民研究サポート」として、総額200万円のご支援を募集いたします。
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途中経過:2006年12月の中間報告から |
< 以下は、中間報告書より、冒頭の「はじめに」の部分です。>
1.はじめに (研究会代表 山口幸夫) この9月に、「発電用原子炉施設に関する耐震設計指針」が25年ぶりに改訂された。 この新指針は、検討委員会が5年あまりの長い年月をついやして議論を重ねたにもかかわ らず、これで原発は地震にたいして大丈夫ということになったのか、おおいに疑わしい。 1995年の兵庫県南部地震以来、日本の地震観測網は充実し、地震学をはじめ地球科学の 進歩は著しい。それでも、わからないこと、あいまいなことが沢山ある。検討委員会の最 終段階で、新潟県中越地震や宮城県沖地震が起こり、また、宍道断層についての新しい知 見が得られた。今後もそういうことが起こるだろう。 日本列島は地震の活動期に入ったと言われることがある。全国各地で争われてきた原発 裁判もその視点が従来にもまして重要になった。この3月の志賀原発2号炉の運転差し止め 訴訟では、複数の活断層が連動する恐れを裁判長は指摘し、原発の安全性に警鐘をなら した。近々起こるだろうとされている東海地震を心配して、浜岡原発にたいして住民が起 こした訴訟が進行している。 このような状況をふまえて、原子力資料情報室はこの夏、外部の専門家にも加わっても らい、「地震と原発」の研究会を発足させた。その場で、新耐震指針の検討は不可欠と考 えた。 有難いことにこの研究会が高木基金から研究委託を受けることになった。当然のことな がら、研究成果を早く世に出す必要が生じた。研究会のメンバ−が十分な議論を重ね、各 自が納得した上で報告書を出すのが理想ではあるが、現実が進んでいくので、分冊形式で 中間報告書的に世に出していくことにした。3ないし4分冊がまとまっていく過程で、メ ンバ−の意見を取り入れ、推敲し、研究が終わった段階で、一つの報告書にまとめて十全 なものにしたいと考えている。 現在の研究会のメンバ−は、石川徳春、石橋克彦、上澤千尋、澤井正子、武本和幸、立 石雅昭、長沢啓行、伴英幸、山口幸夫(代表)、湯浅欽史の10名である。 この第1分冊では
● パブリックコメントを踏みにじった新指針(山口幸夫)
を収録した。執筆者はメンバ−のそれぞれの活動、研究成果を踏まえてはいるが、まだ十
分に練られたものではない。研究会として推敲していきたいと思う。
● いわゆるバックチェック・ ル−ルの問題点チ10.13対政府交渉の内容(湯浅欽史) ● 原子力施設は地球科学の諸問題を軽視してはならない−原子力施設の火山対策 (武 本和幸) 2006年12月26日
研究会を代表して 山口幸夫 中間報告書全文のダウンロード |
途中経過:2007年7月15日「地震と原発」研究の中間報告会を開催 |
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途中経過:2007年8月7日 新潟県中越沖地震を受け、新潟県庁で記者会見 |
7月16日に発生した新潟県中越沖地震によって、柏崎刈羽原発が大きな被害を受け、原発は 大地震には耐えられないということが明らかになりましたが、国や東京電力は、1-2年後には 柏崎刈羽原発を再稼働させようとしているため、「地震と原発」研究会として、新潟で 記者会見を行い、また、新潟県の関係者にも申し入れを行いました。 ・記者会見の概要 日時:2007年8月7日(水)16:15〜17:15 場所:新潟県庁記者クラブ 主催:柏崎刈羽原発反対地元3団体・「地震と原発」研究会 会見の内容: 柏崎刈羽原発反対地元3団体から 1. 柏崎刈羽原発に関する声明 「地震と原発」研究会から 2. 山口幸夫:今回の事態全体の状況認識 3. 石橋克彦:東京電力・柏崎刈羽原子力発電所は閉鎖すべきである:地震学から 4. 田中三彦:許せない性急な再稼働論 5. 井野博満:損傷原発の再運転は危険である ・当日の配付資料 配付資料(PDF 294KB)
・記者会見についての報道 新潟日報2007年8月7日『柏崎原発は「廃炉すべき」』
http://www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=1&newsNo=1742 |
「原子力資料情報室通信」などの関連記事一覧 |
原子力資料情報室通信連載 地震と原発 第1回 『柏崎刈羽原発の地震地盤論争と新指針』
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=445 (2006/11/1:通信389号) 第2回 『「宍道断層」調査で明らかとなった問題は何か』芦原康江 (2006/12/1:通信390号) 第3回 『東海地震の震源域真上に浜岡原発が』塚本千代子 (2007/2/1:通信392号) 第4回 『女川原発は新たな想定地震に耐えられるか?』石川徳春 (2007/3/1:通信393号) 第5回 『志賀(能登)原発訴訟』奥村回 (2007/4/1:通信394号) 第6回 『耐震性が疑われる若狭の原発』橋本真佐男 (2007/5/1:通信395号) 第7回 『福島原発は地震に耐えられるのか』斉藤春光 (2007/7/1:通信397号) |
この研究は、みなさまからの市民研究サポートに支えられています。 |
■ この研究は、高木基金の通常の助成とは区別して、高木基金からの委託研究として、原子力資料情報室を中心とする 研究グループが実施するものです。 研究資金は、一般のみなさんからの「市民研究サポート」(一口2,000円)でまかなう計画で、 この取り組み自体が、市民科学の研究を、市民の出資で支えようとする運動でもあります。 ■ ご支援をいただいた方には、後日、研究成果の報告集等をお送りする予定です。 ■ 「市民研究サポート」は、下記の郵便振替口座に直接振り込んでいただくか、E-mailで振込用紙をご請求下さい。(振込 手数料は高木基金で負担します) ■ なお、「市民研究サポート」も高木基金へのご寄付として、寄附控除の対象になります。(寄附控除についてはこちらをご覧下さい。) ●直接郵便局から振り込む場合 郵便振替口座番号 : 00140−6−603393 加入者名 : 高木仁三郎市民科学基金 ●振込用紙をE-mailで請求する場合 お名前・連絡先を明記の上、こちらにメールをお送り 下さい → info@takagifund.org みなさまのご協力をどうぞよろしくお願いいたします。 2007/4/30 事務局追記: おかげさまで、この研究に対する2007年3月末までの「市民研究サポート」の累計は、918,000円(119人)となりました。みなさま、本当にありがとうございました。 しかし、この研究の費用全体をまかなえる状況には至っておりませんので、今年度も 「市民研究サポート」の募集を継続いたします。みなさまには、引き続きご支援の程、 どうぞよろしくお願いいたします。 |
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