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気候危機時代の豪雨に対応しうる川づくり・流域社会づくりに向けた基礎的研究 ―球磨川豪雨災害調査の「中間報告」説明会を通じて―



グループ名 清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会
代表者氏名 木本 雅己 さん
URL https://tewatasukai.com/
助成金額 50万円

研究の概要

2023年5月の助成申込書から
 本研究では、2020年7月4日球磨川流域豪雨災害における被害拡大要因とメカニズムの実態解明について、これまで申請者らが取り組んできた人吉市を中心とした現地調査の成果を“中間報告”と位置づけ、地区別説明会を実施し議論の場をつくることを通じて、より深い実態解明へと発展させることを試みる。くわえて、球磨村・芦北町・旧坂本村の中流域の被災者らとの交流会の中で“中間報告”を共有し、より広域で見た際の川づくり・流域社会づくりに不可欠な視点を析出する。  国交省と熊本県による豪雨災害検証の不備を受け、申請者らは2020年10月頃に調査に着手、人吉市内の犠牲者20名中19名の要因と時刻を明らかにし、国と県が進めようとしていた河川整備では対応できず、より詳細な検証が求められるとして、共同検証の実施を求め続けてきた。と同時に、調査を通じて、被災した申請者ら自身が持つ個々の体験が、発災メカニズムの内にどう位置付けられるのか、理解を深めてきた。災害調査は、被災した者にとって、気候危機時代の豪雨災害がどのようなものか理解を促すかたちで作用すると同時に、こうした時代にあっての川づくり・流域社会づくりにはどのような視点が重要であるかを、示唆するものでもあった。  国は2015年以降、気候変動を踏まえた河川整備の在り方を検討し、2021年には流域治水関連法が成立した。しかし球磨川流域で生じている事象を見る限り、気候危機時代の豪雨に対応しているとは言い難い。本研究を通じて、気候危機時代に対応しうる川の保全を重視した川づくり・流域社会づくりの要点を、明らかにしたい。

中間報告


 本調査研究は、2020年7月の球磨川豪雨災害の実態解明を深めることを目的としています。国交省・熊本県による検証が不十分であることを踏まえ、被災した私たちは復興作業の合間の時間を縫って300人以上の証言と2,500点以上の映像資料を入手し、現地踏査を繰り返して、発災メカニズムと被害拡大の要因群を明らかにしようと試みてきました。申請時までの調査の成果を「中間報告」として位置づけ、小規模な説明会を流域の各地区で行なってさらなる証言や映像資料を集め、細かなエリアの発災メカニズムを把握することで大きな状況に置き直し、豪雨災害の実態を明らかにしたいと考えています。
 2023年8月以降、フィールドワークをベースとした学習会を複数回、打合せを兼ねた情報交流を1回、行ないました。当初の想定を少し変更し、流域の河川環境や先人らの川との付き合い方を辿る内容で、気候危機時代の豪雨下であっても川との共生を実現するために重要な知見(=土地の成り立ちと特徴、および先人らの土地利用に比した場合の現代の流域開発の特徴と弊害)について共有したり、意見交換したりしました。
 情報交流では、10人以内で参加者の被災体験を共有し意見交換を行ない、流域の各地区の特徴を踏まえた市民調査の構想を、他の被災した住民たちと話し合いました。こうした取組みを踏まえ、残りの期間で旧坂本村や球磨村など中流域での説明会実施や市民調査を計画しています。
 2023年9月末には、公共事業改革市民会議による院内集会に参加しました。ごく短時間でしたが、現行の河川法では地球危機時代の豪雨に対応した水害に対応できない現実を、球磨川豪雨災害の市民調査の結果を示して報告しました。流域内外に対する情報発信は、今後も継続する予定です。
 この間、災害後の復興まちづくりと河川整備がセットで実施されてきました。2023 年は人吉市・災害公営住宅整備や区画整理事業の問題が紛糾するなど、その対応にも時間を割きました(2024年3月提訴)。2024年は、当初の予定通り小規模な説明会と意見交流の機会を設けるべく動いています。また、流域の復興問題に関する集会で市民調査の成果を伝え、豊かな多様性を守る川との在り方を考えつつ、豪雨災害の実態を踏まえたまちづくりをめぐる議論を深められる機会を持てないか、と模索しています。

結果・成果


その他/備考


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