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東電原発事故の政府事故調が未公開にしている文書から重要な情報を開示させる



グループ名 原発報道・検証室裁判文書・政府事故調文書アーカイブプロジェクト
代表者氏名 添田 孝史 さん
URL http://level7online.jp
助成金額 30万円

研究の概要

2023年5月の助成申込書から
 東京電力が引き起こした福島第一原発事故について、政府の事故調査委員会は膨大な資料を集めたが、ほとんど公開されていない。2018年以降、事故をめぐる裁判の中で、検察側は東電や国の責任に関連した数多くの証拠を初めて公開した。その過程で、政府事故調が収集していたのに報告書に記載せず、闇に葬ろうとしていた資料があることがわかった。事故の原因を探り、さらに事故調の検証が正しかったのか、政府がまだ隠していることはないのかを確かめるために、政府事故調の文書を開示させ、読み解くことが必要とされている。隠された事実を新たに見つけることができれば、原因究明だけでなく、事故調査の欺瞞をより明確にできる。  政府や国会の事故調による調査や、検察の捜査はすでに終了している。大学などでも取り組んでいるところはなく、市民科学やジャーナリズムだけが問題解明の役割を果たせる。本研究では、政府事故調資料を開示請求して集め、すでに公開しているデータベース(DB)に追加する。これまでにも、このDBを活用して元日本地震学会長が著作を発表したり、報道でも引用されたりしており、DBの拡充によりさらに有効な利用が増えることが期待できる。  原発のリスク想定をなぜ間違えたのか、検証で隠そうとした事実は何か、その背景や構図を多くの人の目で読み解いていくことは、原発回帰に舵を取った政府の原子力政策を監視するためにも重要な課題だと考えられる。

中間報告


 この調査研究では、2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故について、政府の事故調査委員会が収集・作成した資料を情報開示で集め、事故の原因が適切に追及されたのか検証することをねらっています。
 2018年以降、事故をめぐる裁判の中で、東京地検は東電や国の責任に関連した数多くの証拠を初めて公開しました。
その過程で、政府事故調が収集していたのに報告書に記載せず、闇に葬ろうとしていた資料があることがわかってきました。
 まず2018年12月に、政府事故調が収集した文書の全リストを入手しました。2千数百タイトルあったため、経費や開示にかかる時間を考えて、少しずつ収集・解析を進めています。
 現在は、2023年8月に開示された23,214ページの文書を閲覧し、そのうち必要なものはコピーを入手して、読み込む作業を進めています。今回初めて見つかったのは、政府事故調が、どんな方向で調査を進めていくか検討していた内部資料です。
 その進捗状況の報告を見ると、政府事故調が女川原発と比較したり、土木学会の想定方法で貞観津波が不適切に扱われていたりすることに注目していたことがわかりましたところが最終的に報告書では、その視点がとても軽く扱われてしまっています。貞観津波の記述を政府事故調が抑えてしまったのはなぜか、それは国の責任を隠そうとしたのではないか、その関連を探りたいと考えています。

結果・成果


 東京電力が2011年に引き起こした福島第一原発事故について、政府の事故調査委員会は膨大な資料を集めた。それらは事故の真相解明に必要なデータにもかかわらず、ほとんどは今も公開されていない。事故の全貌を探り、さらに事故調の検証が正しかったのか、政府がまだ隠していることはないのかを確かめるために、非公開の事故調文書を収集して検討するのが本研究のねらいだ。
 本研究では、2万4千ページを超える文書を収集して分析した。その結果、政府事故調の非公開会合や、その資料の存在を明らかにした。資料を読みとき、いくつか重要な内容を見つけた。
 一つは、当時、事故対応にあたった原子力安全・保安院の審議官のメールだ。福島第一1号機が爆発した2011年3月12日の夕方、米国大使から米軍が注水を支援する意向が伝えられていたのに、東電がそれを断っていたことがわかった。3号機も爆発した14日になって、東電はようやくそれを受け入れたが、「後手を踏んだ」と審議官は述べていた。
 もう一つは、津波の専門家の非公開ヒアリングの存在だ。この非公開のヒアリングで、「津波対策をしておくべきだったと思う」と、専門家は述べていた。その専門家が裁判等で証言している内容を覆す内容であり、今後の事故検証や裁判に影響を与えると思われる。

その他/備考


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