あびらの自然を守る会 | ||
内藤 圭子 さん | ||
30万円 |
産廃業者が浄化した水を流そうとしている川。流量が少なく、この川の先がどこを流れているの か特定できないほど、湿地のように広がっている。この川が排水の放出先で良いのか、疑問である。
2022年5月の助成申込書から
2020.11.13の企業が開いた町民向けの説明会で近くに産業廃棄物処分場の計画がある事、北海道の許可がすでに出ていることを知り反対運動を始めました。
議会に「産業廃棄物処分場計画」について検討してほしいと請願を出しましたが否決。関係地域に署名活動を行い議長と町長に提出しました。
続いて北海道に情報開示請求をして廃棄物処理施設検討会の内容を調べて北海道に公開質問状を提出しました。さらに道議会議員や国会議員に働きかけ道議会や国会で取り上げてもらいました。
これら外部への働きかけと同時に町内での学習会や話す会を開催し、その都度通信を発行し町民全体に共通理解が広がるように働きかけてきました。通信は現在8号まで発行。6月1日に9号発行予定。更に今後の環境変化の基礎データにするために2021年秋から季節ごとに河川の水質検査を始めました。
これまでの活動から胆振東部地震が反対運動のポイントと考えるようになりました。北海道の許可が出た後に胆振東部地震が発生し町は2021年調査を実施しました。その結果地震で地盤が不安定になっていることなどから「災害時の被害の懸念や対応の難しさ」を理由に2021.11月に業者からの河川占有許可申請を不許可にしています。防災の観点から「事情変更の法理」の可能性を探り反対運動につなげたい。
さらに設置許可に関わった北海道の廃棄物処理施設検討会の委員の皆さんに学習会講師を依頼し来町時に現地を見てもらい相互理解を深めたいと思います。
2022.4月に行われた安平町議会議員選挙に「あびらの自然を守る会」代表の内藤圭子が1位当選。2位の方も反対派でここに町民の意思が現れた結果と感じています。自然豊かで安心して暮らせる安平町を次世代の子供たちに引き継ぐために今年もしっかり活動していきます。
中間報告より
2020年11月に行われた事業者による住民説明会で、安平町における新たな産業廃棄物処分場計画が明らかになりました。その時、すでに北海道は2017年に設置許可を出していることが判明しました。多くの住民が知らされないまま進むこの計画に不信感を持ち反対運動を始めました。
安平町は、2018年9月に震度6強の胆振東部地震で大きな被害を受けました。町内でも震源に一番近く地滑りや地割れが起きている地域に産業廃棄物処分場を作ろうとしていることがわかりました。法律上、地震の影響は検討する必要が無いという道庁のスタンスは、処分場の営業が始まれば何十年も長い間管理しなくてはならないという現実を考えると、このままにしておけません。このような事例は今まで無かったと思われ(許可が下りてから大地震が起きて現地に大きな影響が出ている)、地震の影響の検討は必要ではないかと働きかけていく必要性を感じています。
また、環境調査をしていく中で、業者が産廃からの放流先河川としている「ほくしん2号」川は湿地帯を流れる小川で水量が少なく、一度大雨が降れば一面池のように広く広がり、放流先として適切とは思えません。
現地に至る道路は畑の中を通る土の道で、雨が降れば水が流れて削られ車が通るのも大変です。そこを大型ダンプが1日に何往復も通ることはダンプの転倒や廃棄物の飛散を招きかねません。
町の許可(処理水を放流するための構造物の占有許可)が出ていない中で企業は道庁に申請し、道庁は許可を出しています。その後、町は構造物の占有は許可しないと企業に通知しました。 町も全力で阻止しようと動いています。2022年は9月に町主催の環境フォーラムが開催され、多くの町民が参加しました。町も産廃阻止のために出来ることをやろうとしています。
私たちは、2期目の高木基金の助成で、国の法律のおかしさを洗い出し、新たな条例や法律の提案が出来ればと考え、環境フォーラムでお会いした礒野弥生先生をお迎えして学習を始めました。他に年4回の町内8地点の川の水質検査を引き続き行っています。12月には情報開示請求していた大量の文章が届きました。そちらの読み込みも大きな仕事です。
私たち自身が、ごみ問題を考え直すために、暮れには段ボールコンポストを試験的に始めました。冬に足元が悪くてゴミ出しが大変な家庭に広がればいいなと思います。段ボールコンポストは今の所順調で臭いも気にならず台所ですぐ捨てられるところも便利です。今年は「出来ることをコツコツと」を合言葉にしっかり進みます。
2023年8月の完了報告より
私たちの活動は地元に産業廃棄物処分場計画があることを知り、町民に説明されないままに進んでいること、その地域は水道が無く地下水利用地域でそれは困る!と声を上げました。産業廃棄物処分場について学び調べていくうちに北海道の許可が出たのは胆振東部地震の前で、現地は地震で山が崩れたり地割れが走ったりと大きな被害があった地域だとわかりました。業者は業者の物差しで問題ないと北海道に説明していますが、北海道はそもそも許可に地震の影響を勘案する必要は無いという立場で、現状と法律がかみ合わないと私たちは感じています。許可の後に大きな環境の変化が起きるという今までに無い案件に環境省も及び腰で北海道と責任の押し付け合いをしています。そういう中、胆振東部地震で崩落が多く起きていて、低い山でも遠くまで谷の土砂が流れている等、普通の崩落とは違うことに注目した原因分析を北海道大学の桂先生が研究していました。はたして何年も管理が必要な産業廃棄物処分場に適しているのか再び北海道に問うて行きたいと思います。議会で産廃について質したところ、条例の制定も町として考えているそうです。今回の業者に間に合わなくても今後これ以上産廃業者が入りにくい町になることも必要です。2022年9月には、町主催で産廃問題を考える「あびら環境フォーラム」が行われました。今後も町と力を合わせて阻止して行きたいです。総会を契機に会員を募っています。多くの町民が賛同して加わってくれることに心強さを感じるとともにしっかり活動しようとメンバーとも話しています。