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使用済核燃料の中間貯蔵施を巡るむつ市政20年の展開と住民運動についての研究



グループ名
代表者氏名 西舘 崇 さん
URL
助成金額 40万円

現政権による原発回帰方針が明らかになる中、下北半 島北端の大間町では3 年ぶりに「大間原発反対現地集 会」が開催された(筆者撮影)。

「核の中間貯蔵施設はいらない!下北の会」のHP より一部抜粋して掲載。 同ページはほぼ毎月更新されており、同会の活動内容の他、むつ市政の動 きや現地紙による関連報道などが詳細に記録、整理されている。

「下北の会」による街頭演説の様子。現在も月二回のペースで行われ ている(撮影:西舘 崇)

研究の概要

2022年5月の助成申込書から
 本研究は、使用済核燃料の中間貯蔵施設を巡る青森県むつ市政のあり方を住民側の立場から検討するものである。対象とする期間は、同施設の受け入れが表面化した2000年から現在までのおよそ20年間とする。  むつ市は2003年に国内初となる使用済核燃料の中間貯蔵施設の受け入れを表明し、2005年には市と青森県、東京電力、日本原子力発電の四者間で「使用済燃料中間貯蔵施設に関する協定」を締結した。工事は2010年から開始され、貯蔵建屋1棟目は2014年に完成した。施設は未だ操業には至っていないが、市は2019年から核燃料税の導入を検討し始めた。  そうした中、本研究は2000年より一貫して同施設の受け入れに反対を表明してきた市民団体「核の中間貯蔵施設はいらない!下北の会」(代表:野坂庸子。以後、下北の会と記す)に注目する。同団体は2000年に結成されて以降、むつ市政の原子力関連政策を注視し、様々な行動、抗議運動を展開してきた。本研究では、中間貯蔵施設に関わるむつ市政20年の推移を「下北の会」の立場から批判的に検証することを通して、施設受け入れの政治的プロセスを明らかにするとともに、下北の会の運動が内包する熟議民主主義的規準の具体像を浮き彫りにすることを試みる。  なお本研究は、対象とする課題の構造的、複合的なつながりやその深さなどから、短期的な成果を求めるよりも、複数年にわたって継続して調査を行いたいと考えている。

中間報告

中間報告より
 本研究の目的は、使用済核燃料の中間貯蔵施設を巡る青森県むつ市政のあり方を、地域で暮らす一般市民の立場から検討することです。対象とする期間は、この施設の受け入れ計画が表面化した2000年から現在までのおよそ20年間としました。施設(貯蔵建屋)は2014年に完成していますが、操業には至っておりません。むつ市は2019年より、この施設に運び込まれる予定の使用済核燃料への(新)核燃料税の導入を検討し始め、2022年9月には同税に対する総務大臣からの同意を得ました。  20年という期間を分析する上で、本研究では、2000年より一貫して施設の受け入れに反対してきた市民団体「核の中間貯蔵施設はいらない!下北の会」に注目しています。今回の調査では同会の代表である野坂庸子さんや、事務局の栗橋伸夫さん、そして関係者の方々への聞き取りを中心に行いながら、この20年間の経緯を整理するとともに、下北の会の活動意義や今後の課題などについて考察を進めています。  2023年1月現在は、昨年9月に行った野坂さん、栗橋さん、関係者への聞き取りデータの文字起こしが完了したので、その内容を改めて考察しているところです。また現地で収集したデータや市議会傍聴時の様子、議会議事録の整理等を行いながら、20年間の詳細な年表作成を進めています。  昨年8月から現在までに一つの研究成果もありました。それは、3.11直後の青森県政と県民の様子を追った研究論文が学会誌の査読を通ったことです。刊行されましたら改めて報告いたします。

結果・成果

2023年8月の完了報告より
 本研究は、使用済核燃料の中間貯蔵施設を巡る青森県むつ市政のあり方を、地域住民の目線から検討するものです。この施設は、原子力発電所で使った後の核燃料を再処理するまでの間、一時保存する施設であり、日本では今のところむつ市にしかありません(2014年に貯蔵建屋1棟が完成していますが、操業には至っていません。なお、この報告書を書いている2023年8月現在、山口県の上関町が同施設の建設に向けた調査受入を表明しました。今後の動きを注視していきたいと思います)。  本研究の分析期間は、むつ市にて施設の受入計画が表面化した2000年から現在に至るまでのおよそ20年間です。研究では、2000年より一貫して施設の受入れに反対してきた市民団体「核の中間貯蔵施設はいらない!下北の会」(以後、下北の会)に注目し、同会の代表である野坂庸子さんや、事務局の栗橋伸夫さん、そして関係者の方々への聞き取りを行なったほか、中間貯蔵に関わるむつ市政のおよそ20年分の年表を作成しました。また3.11 直後の1年間における青森県政の動きを分析した論文「3.11直後の青森県政と原発関連施設の工事等再開をめぐるポリティクス―県民の‘声’の行方―」を発表することが出来ました。  2023年度においては、同研究の継続申請を行い、助成が決定しました。現政権の原子力政策の動きとともに、新たな知事を迎えた青森県政の動向も合わせてフォローしながら、むつ市による核燃料税導入過程を中心に分析を行う予定です。

その他/備考


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