菊川 裕幸 さん | ||
https://researchmap.jp/hryk-blossom | ||
28万円 |
丹波篠山市内の約1,200箇所の竹林の現状調査
竹の胸高直径から棹高および乾燥重量を推定するための相関式 (アロメトリー式)を作成した(成果発表会の報告スライドから)
2021年4月助成申込書より
本調査は、西日本を中心に拡大している「放置竹林」問題に焦点をあてている。放置竹林や竹林の有効活用法については数多くの先行研究があるが、研究対象がある市町村の中でも特定のエリアのみの限られた一部であることが多い。また竹資源の利用に関しても、農業利用法等の先行研究がみられるが、他の資材と混和した堆肥の使用や、使用している竹の年数が不明であるなど、エビデンスレベルが低く、実用化にはつながっていない事例が多数である。
また、森林については整備による補助事業が数多くみられるが、竹林整備に補助金を出す自治体はまれであり、そのため地域での竹林整備は進んでおらず、地域の自発的な活動に委ねられている場合が多い。
そこで、本研究では、兵庫県の丹波篠山市をフィールドとし、竹資源の地域単位での循環(活用)を目指して、竹林の種類や状況の現地調査に加えて、資源量の推定のための竹林調査を実施する。これによって、丹波篠山市内にある竹林の様々なタイプを明確にし、用途に応じた、緊急性の高い竹林からの整備などの情報を市民や行政と共有する。さらに資源量を推定し、伐採後の竹チップを農業に有効利用できることをきちんと示し、竹林整備マニュアル等を作成することで、竹林整備の機運の醸成→竹林整備の実施→伐採後の竹林の農業利用→適切な資源管理→放置竹林による諸問題の解決を目指したい。
中間報告より
この研究は、西日本を中心に拡大を続けている放置された竹林(放置竹林)に着目し、その資源管理や地域内での有効活用法の確立を目的として実施します。放置竹林は、適切な間伐などの管理が行われていないために、年々その面積を増加させ、山林や田畑の侵食や景観の破壊などが問題となっています。
研究の対象地は、兵庫県丹波篠山市とし、竹資源の地域単位での循環(活用)を目指して、竹林の種類や状況の現地調査に加えて、資源量の推定のための竹林調査を実施しました。これによって、丹波篠山市内にある竹林の様々なタイプを明確にし、用途に応じ、緊急性の高い竹林から整備を行うなどの対策を市民や行政と共有することができます。さらに竹資源量を推定し、伐採後の竹チップを農業に有効利用できることを示すとともに、竹林整備マニュアル等を作成することで、竹林整備の機運の醸成→竹林整備の実施→伐採後の竹林の農業利用→適切な資源管理→放置竹林による諸問題の解決を目指すことを最終目標としています。
すでに、丹波篠山市内の調査可能であった約1,200箇所の竹林について、その面積、伐採難易度、竹の種類、場所などを明らかにすることができました。また資源量調査のために、無作為に抽出したマダケ林、モウソウチク林のそれぞれ3か所について、100平方メートルあたりの竹の本数ならびに胸高直径を非破壊検査し、加えて、胸高直径2cm刻みで竹を伐採し、稈・枝・葉のそれぞれの資源量を調査しました。
今後は、これらのデータを用いて、竹の地上部現存量を胸高直径から推定する式を作成し、資源量の把握、適切な伐採管理の方法を明確にします。
2022年8月の完了報告より
本研究は、西日本を中心に拡大を続けている放置竹林に着目し、その資源管理や地域内での有効活用法の確立を目的としました。本研究では、兵庫県丹波篠山市を調査対象地とし、竹資源の地域単位での循環(活用)を目指して、竹林の種類や状況の現地調査に加えて、資源量の推定のための竹林調査ならびにアロメトリー式(図参照)の作成を行いました。また、教育普及のために行政と連携し、竹林整備パンフレットを作成しました。これらによって竹林整備の機運の醸成→竹林整備の実施→伐採後の竹林の農業利用→適切な資源管理→放置竹林による諸問題の解決を目指すことを目標としました。
調査の結果、丹波篠山市内の調査可能であった約1,200箇所の竹林について、その面積、伐採難易度、タケの種類、場所などを明らかにすることができました。また資源量調査のために、無作為に抽出したマダケ林、モウソウチク林のそれぞれ3か所について、100平方メートルあたりの竹の本数ならびに胸高直径、胸高直径2cm刻みで竹を伐採し、稈・枝・葉のそれぞれの資源量を調査しアロメトリー式を作成し、資源量の把握ができるようにしました。竹チップの新たな利用法として、花き栽培(キク)への栽培試験を行い、一定の効果があることを明らかにすることができました。今後は、竹チップの利用法を確立し、地域内で資源循環ができるように、以下の方法で研究を継続したいと考えています。
・地域おこし協力隊などと連携して、竹林整備の講習会や竹チップの利用法を確立する。また、行政と連携して、市民への竹チップの供給方法を確立し、竹資源を用いた市民科学の進展を目指す。
・近隣の農業高校と連携し、様々な農業分野での竹チップの活用法を研究する。2022年9月からは、ハボタンやビオラなどの花壇苗の栽培試験を実施する予定。