原子力資料情報室 | ||
伴 英幸 さん | ||
https://www.cnic.jp/ | ||
万円 |
想定される放射性廃棄物の輸出先
訪米調査での視察先・訪問先(成果発表会の報告スライドから)
2021年4月助成申込書より
日本原子力研究開発機構(JAEA)の東濃地科学センター(岐阜県)と人形峠環境技術センター(岡山県)にある、主に外国産のウランとウランを吸着させたイオン交換樹脂や活性炭、処理固化物等、計120トンの放射性物質を米ユタ州のホワイトメサ製錬所(エナジー・フューエルズ社)への輸送が計画されている。JAEAは2005年にも人形峠の約500トンのウラン残土等をホワイトメサ製錬所に輸送している。
ホワイトメサ製錬所は、現在米国で稼働している唯一のウラン製錬所であるが、ユート・マウンテン・ユート先住民のホワイトメサ保留地が隣接しており、精錬所からの放射性物質等の被害に悩まされてきた。
バーゼル条約および外為法に基づき、放射性廃棄物の海外輸送は原則禁止されているが、2005年の輸送では、JAEAはウラン残土を資源だと称して、処理費を支払った。今回の輸送でも放射性物質を資源と称して処理費を支払うことにしている。だが、輸送したウラン残土から作られた製品は日本に戻されることはなく、処理後にでた放射性廃棄物は現地で廃棄されている。今回の輸送でも同様の取り扱いとなる見込みだ。前回、今回と輸送を認めていくと、なし崩し的に他のウラン廃棄物の海外輸出が行われかねない。
ホワイトメサ製錬所やホワイトメサ保留地他、現地の状況を調査し、被害の状況を明らかにする。また日米の市民の連携を強化し、ウラン廃棄物輸送の阻止にむけた動きを作る。
中間報告より
本調査は、日本原子力研究開発機構(JAEA)が計画している、東濃および人形峠で保管しているウラン鉱石やウランを吸着させた樹脂等の米国ユタ州のホワイトメサ製錬所への輸出に関するものです。ホワイトメサ製錬所の周辺は、製錬所から出る残渣ダムなどの影響から、汚染がみられると報告されていますが、近郊にはユートマウンテンユート族のホワイトメサ居留地があり、住民は施設の運転に反対し続けています。本調査は、環境の汚染状況、周辺住民の被害状況などを調査するとともに、地元の運動との連携を強め、今後の運動に活用することを目的としています。
現在、2022年3月〜4月にかけての現地調査にむけて、現地の関係者との連絡、情報収集などの準備を実施しています。
申請当初はホワイトメサ製錬所およびその周辺住民などを調査する予定でした。しかし、2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画において、廃炉で生じる大型機器(廃棄物)の海外処分の実施方針が書き込まれたことから、米国で、廃炉に伴う大型機器の金属リサイクルを行っているEnergy Solutions社も調査対象に加えることとしました。同社は今回訪問するユタ州に本社があります。大型機器の金属リサイクル過程で出てくる放射性廃棄物の処分地はユタ州ソルトレークシティー近郊のクライブ処分場になると考えています。
2022年8月の完了報告より
日本原子力研究開発機構(JAEA)の東濃および人形峠で保管しているウラン鉱石やウランを吸着させた樹脂等の米国ユタ州のホワイトメサ製錬所への輸出問題について調査を行いました。ホワイトメサ製錬所の周辺は、製錬所から出る残渣ダムなどの影響から、汚染がみられると報告されていますが、近郊にはユート・マウンテン・ユート族のホワイトメサ居留地があり、住民は施設の運転に反対し続けています。本調査では、製錬所や周辺住民の状況などを調査するとともに、地元の運動との連携を強め、今後の運動に活用することを目的としています。また、申請当初はホワイトメサ製錬所を焦点に調査する予定でした。しかし、2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画において、廃炉で生じる大型機器(廃棄物 )の海外処分の実施方針が書き込まれたことから、米国で、廃炉に伴う大型機器の金属リサイクルを行っているEnergy Solutions社も調査対象に加えました。
2022年3月31日〜4月10日にかけて現地調査を実施しました。現地では、ユタ州のウラン開発の状況を視察したうえで、ホワイトメサ居留地とホワイトメサ製錬所、大型金属等を処分しているクライブ処分場の訪問、ユタ州の放射性物質等の管理当局との面談などを行いました。また、現地の運動団体などと今後の運動などに関しての関係性を構築しました。現地調査や国内での資料調査の成果は8月20日付毎日新聞1面などの報道につなげました。
日本原子力研究開発機構は、現時点では双日マシナリーとの委託契約は締結したものの、ホワイトメサ製錬所を保有するEnergy Fuels社との契約は未締結の模様です。一方、情報公開請求で入手した双日マシナリーへの仕様書によれば、2021〜2022年度で輸送を完了させることとなっています。国内外で問題を提起することで、計画遅延、阻止を目指します。