福島老朽原発を考える会 (フクロウの会) | ||
青木 一政 さん | ||
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50万円 |
焼却施設周辺住民の尿検査と、居住地に近いリネン 吸着法の測定結果から、相関関係を検証している
リネン吸着法結果と尿検査結果(中央値)の相関関係
玉造クリーンセンター周辺における住民の尿検査結果と、近隣でのリ ネン吸着法による放射能汚染濃度との相関関係
2021年4月助成申込書より
宮城県大崎市においては2020年度より農林業系放射能汚染廃棄物(汚染稲わら、汚染牧草など)の一斉焼却が開始された。この焼却は大崎市内3か所の一般ごみ焼却施設において一般ごみとの混焼により7年間継続する。焼却施設周辺の住民を中心に焼却炉からのセシウム等放射能を含む微小粒子の拡散の懸念と不安が強い。住民は2020年に大崎市を被告として公金支出停止の裁判を提訴した。
2018-2019年の試験焼却時に我々が実施したリネン吸着法による監視においては風下方向にセシウム粉じん濃度の高い場所が発見され、しかも季節による風向の変化に対応してこの最大濃度地点も変化した。このことは焼却炉からセシウムを含む微小粉塵漏れがあることを強く示唆している。この試験焼却時の最大濃度地点のリネン吸着データは南相馬市原町区のデータとほぼ同等レベルである。
我々は南相馬市原町区在住の南相馬避難20ミリ基準撤回裁判原告を対象に2017?2020年にかけて尿検査による内部被ばく実態を明らかにしてきた。その中で低レベルではあるが慢性的にセシウムを取り込んでいる例が多数あり、大気中粉じんの吸入によるセシウム摂取の可能性が疑われている。
そこで、大崎市焼却施設周辺の住民の尿検査により、これら風下地域の住民と比較対象地域の住民とで内部被ばくリスクに差があるかどうかを調査する。またその結果を南相馬20ミリ裁判原告の尿検査データやリネン吸着法データと比較することで、セシウムの摂取経路の差異や共通性などを明らかにする。
中間報告より
宮城県大崎市においては、2020年度より農林業系放射能汚染廃棄物(汚染稲わら、汚染牧草など)の一斉焼却が開始されました。この焼却は、大崎市内3か所の一般ごみ焼却施設において、一般ごみとの混焼により7年間継続されます。焼却施設周辺の住民を中心に、焼却炉からのセシウム等放射能を含む微小粒子の拡散の懸念と不安の声があります。
2018〜2019年の試験焼却時に、私たちが実施したリネン吸着法による監視においては、風下方向にセシウム粉じん濃度の高い場所が発見され、しかも季節による風向の変化に対応し
てこの最大濃度地点も変化しました。このことは焼却炉からセシウムを含む微小粉塵漏れがあることを強く示唆しています。
そこで、大崎市焼却施設周辺の住民の尿検査により、施設の風下地域の住民と比較対象地域の住民とで内部被ばくリスクに差があるかどうかを調査します。またその結果を福島県の南相馬20ミリ裁判原告の尿検査データや、リネン吸着法データと比較することで、セシウムの摂取経路の差異や共通性などを明らかにします。
これまでに、市内3か所の焼却施設(玉造、中央、東部)周辺住民の尿検査を進めています。既に玉造、中央の周辺住民、80名の尿検査を終了し、東部周辺住民の尿検査を実施中です。玉造周辺住民について、尿検査で測定値が出た被験者が常食するコメのセシウム濃度測定、コメ摂取量の調査も行い、食品摂取によるものと呼吸からの取り込みの分離を試みました。玉造周辺住民についてはまとめが終了しました。
2022年8月の完了報告より
宮城県大崎市においては 2020年度より放射能汚染廃棄物(汚染稲わら、汚染牧草など)の一斉焼却が開始されました。この焼却は市内3箇所の一般ごみ焼却施設において7年間継続されるもので、周辺住民は懸念や不安を抱いています。2018〜19年の試験焼却時に我々が実施したリネン吸着法による監視において、風下方向にセシウム粉じん濃度の高い場所が発見され、しかも季節による風向の変化に対応してこの最大濃度地点も変化していました。このことは焼却炉からセシウムを含む微小粉塵漏れがあることを強く示唆しています。
そこで本研究では、これら風下地域の住民に内部被ばく差があるかどうかを尿検査により調査しました。またその結果を南相馬20ミリ基準撤回裁判原告の尿検査やリネン吸着法結果と比較することで、セシウムの摂取レベルや経路の差異などを明らかにすることも目的としました。
玉造クリーンセンター(CC)周辺住民の尿検査結果ではリネン吸着法濃度との相関関係が見られました。すなわち焼却炉風下2km周辺の住民の24時間尿中排泄量は、その地域の他グループ住民と比べ中央値で約2倍でした。一方で他の2箇所の焼却施設周辺では、玉造CCほど明瞭な差は見られませんでした。この理由としては、リネン設置場所と集落や人口の状況が異なり、グループ毎の尿検査受検者数に不均一が生じたこと、焼却施設周辺の地形の違いによる排ガスの滞留度合いの違いなどが考えられます。
今後はリネン吸着法と共にハウスダストを大気中粉じんセシウム濃度の指標として用いることを計画しています。