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北海道庁が許可した産業廃棄物処分場計画の許可プロセスの見直しと地域環境リスク評価に関する調査研究



グループ名 あびらの自然を守る会
代表者氏名 内藤 圭子 さん
URL
助成金額 60万円

道への質問状提出を報じた苫小牧民報(2021年11 月23 日)

2021年度の取り組み(成果発表会での報告スライドから)

研究の概要

2021年4月助成申込書より
令和2年11月に行われた住民説明会で、民間業者による北海道安平町での産業廃棄物処分場の建設計画が明らかになりました。しかもこの計画は関係地域住民への事前説明もないまま、すでに北海道庁は平成29年に設置許可を出していることが判明しました。地元安平町及び関係地域住民の同意がないまま計画が進められていることや、そもそも計画予定地の取得から許可に至るまでの一連のプロセスが不透明であること、また、この計画には以下のような様々な問題点がある他、環境影響リスク、情報公開や計画への住民参画手続の合法性など多岐にわたる疑問があるため、一連の許可プロセスの検証及び計画が進められた場合の地域環境リスク評価について明らかにしたい。 <計画の見直しを求めるポイント> ・処分場の周辺には100軒近くの民家があり、水道未設置地域のため、飲料水(地下水)への影響が懸念される。 ・浸出水処理後の排水を流す河川にはヒメマスが住んでおり、また農業用水としても利用がされているため、これらへの影響が懸念される。 ・2018年胆振東部地震の震源から2kmしか離れておらず、地震で予定地は地割れやがけ崩れ、液状化現象などの被害が発生しており、地盤面での懸念材料がある。 ・周辺地域住民に対する説明がされないまま北海道庁への申請が行われ、「合法である」との理由で許可が出されている。なお、許可を取得した企業は買収され、買収先の企業が計画を進行している。 以上のことから、安平町は独自に予定地の環境リスク調査(地盤、河川、交通量など)を行い、結果を一般に公表する。さらに町民と産業廃棄物処分場計画の検証を行い、設置許可の取り消しに向けて住民運動を行う。 また、この問題をこの町の未来ビジョンなどについても話し合うきっかけとし、未来に「負の遺産」を残さず、「いのちと絆」のバトンを渡せるよう活動したい。

中間報告

中間報告より
 安平町における産業廃棄物処分場計画について、私たち住民が知ったのは、2020年11月に行われた事業者(企業)による住民説明会がはじめてでした。その時、すでに北海道は2017年に設置許可を出していることが判明しました。私たちは、多くの住民が知らされないまま進むこの計画に不信感を持ち、反対運動を始めました。  安平町は、2018年9月に、震度6強の胆振東部地震で大きな被害を受けました。町内でも、震源に一番近く、地滑りや地割れが起きている地域に産業廃棄物処分場を作ろうとしていることがわかりました。法律上、地震の影響は検討する必要がないという道庁のスタンスは、処分場の営業が始まれば何十年もの長い間、管理しなくてはならないという現実を考えると、このままにしておけません。許可が下りてから大地震が起きて、現地に大きな影響が出ているという事例は、今までなかったと思われ、地震の影響の検討を働きかけていく必要を感じています。  また、環境調査をしていく中で、事業者が産廃からの放流先河川としている川は、湿地帯を流れる小川で、もともと河川の体をなしていません。一度大雨が降れば、一面、池のように広がる川で、放流先として適正とは思えません。  現地に至る道路は畑の中を通る土の道で、雨が降れば水が流れて削られて、車が通るのも大変です。そこを大型ダンプが1日に何往復も通ることになれば、廃棄物の飛散を招きかねません。  町の許可( 処理水を放流するための構造物の占有許可)が出ていない中で、道庁は、事業者の申請を許可しました。しかし、町は構造物の占有許可は出さないと事業者に通知しました。町も全力で阻止しようと動いています。今後どのような展開になるか要注目です。

結果・成果

2022年8月の完了報告より
 私たちの活動は、あびら町において産業廃棄物処分場建設計画が、町民に説明されないままに進んでいることを知り、しかもその地域は水道が無く、地下水を飲料水として利用していることから、それは困るとの思いで声を上げました。調べていくうちに北海道の許可が出たのは胆振東部地震の前で、現地は地震で山が崩れたり地割れが走ったりと大きな被害があった地域だとわかりました。業者は問題ないと北海道に説明していますが、北海道はそもそも許可に地震の影響を勘案する必要は無いという立場で、現状と法律がかみ合わないと私たちは感じています。許可の後に大きな環境の変化が起きるという今までに無い案件に、環境省も及び腰で北海道と責任の押し付け合いをしています。  2021年度の取り組みの中で、北海道大学の桂先生が、胆振東部地震で崩落が多く起きていて、低い山でも遠くまで崩落している、谷の土砂が流れている等、普通の崩落とは違うことに着目して、その原因を調べていることがわかりました。地震の被害があった一帯の地層を調べたところ9,000年前の地層の火山灰が岩盤の上で水分を充分に含んで飽和状態で、小さな揺れでも崩落する準備が出来ていたということです。私たちも実際にその火山灰を見せていただきましたが、水分を含んで重い火山灰で、手でつぶすとすぐ崩れるという状態でした。まさに産業廃棄物処分場の予定地も山が崩れています。そのような場所が、はたして何十年も管理が必要な産業廃棄物処分場に適しているのか、再び北海道に問うていきたいと思います。

その他/備考


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