上関原発の計画地点
田ノ浦埋立予定地内で確認されたウミスズメアップ(上)と羽ばたくウミスズメ(下)。2009年2月7日、撮影:木村路子
ウミスズメ&カンムリウミスズメ確認地点
今年はスギモクの生育が去年より悪く、スギモクの丈が短く、生殖器床の大きさも小さく1本の茎につく数も減っていた。個体群も減少していた。その原因については以下の2つが考えられる。瀬戸内海全体が温暖化のせいか、スギモクだけでなく、海藻の育ちが悪いということ。ただ、田ノ浦湾内と湾外を比べると特に田ノ浦湾内の海藻の育ちが悪く、詳細調査などにともなう陸域工事の影響も考えられる。
2007年12月の助成申込書から
中国電力が2005年4月より開始した原子炉設置許可申請のための詳細調査は反対派住民の抵抗や長島の自然を守る会の摘発等に阻まれ、当初終了予定の2007年3月末が2008年8月末まで再延長されるなど大幅に遅れている。一方、係争中であるため、一旦は中断した四代地区共有地地下の試掘孔調査を、2007年12月に急遽再開するなど一刻も早く詳細調査を終え、着工にこぎつけようとする中国電力の動きは予断を許さない。
こうした動きに対抗するため、以下の調査研究を重点的に行う。
(1)1999年から実施してきた調査研究を継承しつつ、新たに祝島や周辺地域を調査対象に加え、長島一帯の自然環境や生態系の体系的な解明を進める。
(2)詳細調査によるダメージを研究者と連携して監視をする。
(3)里山・里海再生の実験的試行に着手する。
調査研究によって得られた成果を以下の点で活用する。
(1)環境アセスメントの不備追及とやり直しの要求を「自然の権利訴訟」という形で具体化する。
(2)詳細調査によるダメージを申入れや記者発表で明らかにし、事業者や行政の告発をする。
(3)詳細調査のデータ改ざんや隠蔽を監視する。
(4)今後予想される埋め立て免許取り消しを求める闘いにおいて、周辺海域の漁業に与える影響の論証など自然環境や生態系の面から科学的根拠を提供する。
(5)ラムサール条約登録のための運動を開始する。
(6)地元で利用されていない海藻料理の開発や製塩、金漆の再生などを地元住民や研究者と連携して取り組み、原発に頼らない地域作りの一翼を担う。
(7)地元及び県内外で幅広くシンポジウムを行う。
(8)これまでの調査研究成果を書籍にまとめ、仮称「長島の生き物たち」の発刊を目指す。