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地域での知識獲得:セサン下流2水力ダムの影響監視



グループ名 LS Community Action Research Team
代表者氏名 Narith POR さん
URL www.mvicambodia.org
助成金額 4500USD=約45万円

ダム上流部のKbal Romeas村の冠水した家屋

セサン下流2ダムによる影響地域

移転地で住民が情報整理を行っている様子

研究の概要

2019年の申込書から
 カンボジア東北部、ストゥン・トレン州セサン郡のセサン川に造られた「セサン下流2(Lower Sesan 2、LS2)ダム」の影響を調査します。調査は、1)同ダム建設に伴い人々の移転先となった村、2)ダムの上流の村、3)ダムの下流の村の3カ所で行います。いずれもセサン川流域に位置し、ダム建設以来、川の生態系(魚の生育環境など)や先住民コミュニティに大きな問題をもたらしてきましたが、本ダムに関するこれまでの学術的な研究はこうした問題に言及されることはなく、地元から取り組むべきだとの声が上がってきたことから、影響地域の住民のキャパシティビルディングを行い、地域固有の“知”を活かしながら、水力発電ダム事業が引き起こした問題を精査し、文書化していくことになりました。調査の要は、地域住民が、水力発電事業の稼働による地域コミュニティへの影響について理解を深め、その問題を発信したり、関連当局と協議するだけの交渉力や自信を身につけ、コミュニティにもたらした問題の改善と環境影響への軽減につなげていくように努めていくことです。  報告書は、草稿段階で地域社会で見てもらい、意見を受け付けた後に正確な文書として完成させます。その内容は、行政関係者や地域社会の代表者にも広く届くようにし、政策決定に反映されるよう務めていくことで、セサン川とスレポック川流域に居住する8万もの人々の生活や人権保護に役立てていきたいと考えています。

中間報告


結果・成果

2020年2月最終報告より
 カンボジア東北部ストゥントレン州を流れるメコン川支流のセサン川下流に建設されたセサン下流2(LS2)ダムは、この支流が育む生物多様性とその恩恵を受ける人々の暮らしに影響を与えてきました。  2012年のカンボジア国立科学アカデミーの調査によれば、このダムにより、 流域で10 % 近く漁獲量が減り、50種以上の魚類が絶滅の危機に瀕する状態となりました。こうした影響は、下流はベトナム、上流はラオスやタイにまで広っています。 また、メコン川の流量が変わったことで、土砂堆積量が約6-8%減少していることも指摘されています。  本調査では、セサン川、スレポック川、トンレサップ湖周辺の地元コミュニティが、この問題への理解を深めていくとともに、地元行政や企業などに対しては、LS2水力事業がもたらした問題を認識し、 ダム開発によって影響を受けた人々の暮らしを改善できるような施策を打ち出すように働きかけてきました。  今回、ダム建設に伴い人々の移転先となった村、ダムの上流の村、ダムの下流の村の3カ所で、7人から成る調査グループ(内3名は女性)を作り、調査ツールの開発、方法論の研修を行った上で、 若者、 障害者などを含め、話し合いを通じたデータの収集を行いました。 情報とデータは州レベルで整理した後に、正確さを期するため、影響地域住民と情報の確認作業を行い、 最後に地元コミュニティの代表者、州レベルの行政当局者など、あらゆるステークホルダーと結果を共有するためのワークショップを行いました。 この調査結果を通じて、対象コミュニティの約80%の人々がLS2ダムの影響について認識するようになり、自らの地域にもたらされた問題を改善するために、州政府と交渉していく知識を獲得することができました。 その結果、地元行政もコミュニティの調査グループとともに、具体的な行動計画を実行していくようになりました。

その他/備考


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