インドネシア民主化支援ネットワーク |
『日本の対インドネシア・エネルギー開発援助・投資』<助成報告集Vol.6,2009掲載>[pdf] |
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佐伯 奈津子 さん | ||
http://www.nindja.com/ | ||
20万円 |
ドンギ・スノロ鉱区地図
住民のデモに対峙する警察(沖合いにあるティアカ鉱区で海上基地が建設され影響を受けているコロ・バワ村)
漁船でティアカ鉱区にデモする(コロ・バワ村)
「客は24 時間出頭義務あり」(LNG 精製工場建設が計画されているウソ村)
2007年12月の助成申込書から
日本にとって重要なエネルギー供給国であるインドネシアは、日本の最大援助・投資相手国である。2007年8月、両国は経済連携協定(EPA)に調印した。EPAの枠組みのもと、日本は、これまで以上に、インドネシアにおけるエネルギー開発のために援助・投資を供与することになる。
エネルギー開発が、日本のエネルギー安全保障、インドネシアの経済成長に資することは否定しない。しかし、エネルギー開発プロジェクトが、強制的な土地収用、環境破壊、生計手段の喪失など、しばしば地元住民の暮らしを破壊してきたことも事実である。
本調査研究では、日本の援助・投資によるエネルギー開発が、地元住民にどのような影響を与えたのか(与える可能性があるのか)、明らかにすることを目的としたものである。具体的には、ドンギ=シノランLNG開発(中スラウェシ州)、タングーLNG開発(西パプア州)、サルーラ地熱発電所(北スマトラ州)、ムリア原子力発電所(中ジャワ州)の影響について、住民からの聞き取り調査をおこなう予定である。
調査研究が、国益より「地球市民益」を優先させる市民を増やし、日本政府・企業の政策転換をうながすことに貢献できるよう努力したい。
2009年5月の完了報告から
2008年に外交関係50周年を迎えたインドネシアは、日本にとってエネルギー供給国として重要な位置を占めてきた。両国が2007年8月に調印した経済連携協定(EPA)の枠組みで合意された7つの事業計画うち、実に6つがエネルギー開発である。
本調査研究は、この日本の援助・投資によるエネルギー開発が、地元住民にどのような影響を与えたのか(与える可能性があるのか)、明らかにすることを目的としたものである。上記の事業計画で合意されたドンギ=シノランLNG開発(中スラウェシ州)、サルーラ地熱発電所(北スマトラ州)について、現場・住民の視点で調査することを目指した。
両地域に共通して、土地収用や環境への影響に関する情報をほとんど与えられていない住民たちが、自分たちの暮らしが今後どうなるのか不安を抱いていることが明らかになった。さらにエネルギー資源や外資を保護する名目で、インドネシア治安部隊が展開をはじめており、今後人権侵害などの問題が発生することも懸念されている。
今後、より詳細な調査を進めつつ、ジャカルタ、中スラウェシ州のNGOと協力して、問題解決のための取り組みをおこないたい。