Philippine Movement for Climate Justice(PMCJ) | ||
Rivera, Bibiano C., Jr. さん | ||
http://climatejustice.ph/ | ||
4,900US$ =約54万円 |
石炭火力発電所周辺での住民参加型環境調査の様子1
石炭火力発電所周辺での住民参加型環境調査の様子2
2017年9月の助成申請書より
石炭火力発電所の周辺環境およびそこで暮らす人々の生活や健康への悪影響は世界中の様々な調査で明らかにされているものの、フィリピンでは多くの石炭火力発電所が稼働しているにも関わらず、これまで証拠が揃わず十分に証明されてきませんでした。
私たちPMCJは、フィリピンにおける石炭火力発電所周辺の環境・健康調査を行うにあたり、発電所周辺の地域住民や地元コミュニティ自身が主体的に石炭火力発電所に対する知識やその有害性を証明する能力を身につけられるよう、コミュニティ参加型で進めていきます。本調査の結果は、環境関連の法律制定に向けた政策提言、最終的には石炭から、クリーンかつ安全な再生可能エネルギーへの転換に結びつけたいと考えています。
なお、2016年に実施したルソン島での先行調査を始めとして、一連のプロジェクトは数年前より動き出しており、影響地域のコミュニティや、共同実施者であるNGO(ウォーターキーパー・アライアンス、ヘルスケア・ウイズアウト・ハーム、グリーンピース・フィリピン)との協力関係、実施態勢は整っています。
今回の調査では、先行調査の際に浮かび上がった課題を改善させた上で、ミンダナオ島で2カ月間、問題発生地域のコミュニティーリーダー20名に対して実施する予定です。研修内容は、基本的な水のパラメータ習得、ラボ分析用の水のサンプリング、大気環境計測機器の使用法とメンテナンス、文書作成等で、終了後は報告書を作成し、様々な機会で発表を行っていきます。
2018年12月成果報告書より
私たちは、石炭やその他の“汚い”エネルギーに反対し、環境基準を強化すること、それを法律策定につなげていく国レベルのキャンペーンを日常的に行っており、石炭火力発電所立地地域のコミュニティと密に連携してきました。
キャンペーンを通じて認識した課題の一つは、コミュニティが経験している健康・環境影響を説明するにあたり、科学的で実証に基づくデータが欠けていることでした。そのため、私たちはコミュニティのリーダーと協力し、影響地域の住民自らが必要な知識を身につけ、これらのデータを主体的に集めることに取り組みました。
PMCJは、重金属を調べる水質調査と大気モニタリング関するリーダー研修を2018年3月にダバオ市で、ウォーターキーパーアライアンス、グリーンピース東南アジアや、地元の団体や大学などとの協働で、同年4月にはスアル市で、地元団体(セーブ・スアル・ムーブメント)と協働で実施しました。2回の研修機会を経て、300MWのダバオ南石炭火力発電所(南ダバオ・ビヌガオ)と1294MWのスアル石炭火力発電所(パンガシナン・スアル)について、コミュニティ主導による調査が実施できました。水質調査では石炭火力発電所周辺の水域からサンプルを採取し、アメリカの分析機関に送りました。結果の詳細は最終報告とは別に作成したレポート(ウェブに掲載)の骨格になっており、環境と健康に及ぼす影響についても言及しています。
今年度は、他団体とも協力し、大気汚染問題にも力を入れ、別の石炭火力発電所コミュニティでも、水質調査と大気モニタリングとセットで行うことにしました。水、大気、その他環境基準について法を遵守するよう監視し、必要に応じて、法的な措置を講ずるなど、引き続き、石炭火力発電所の周辺環境およびそこで暮らす人々の生活や健康を守る活動に取り組んでいきます。
※本報告の背景、詳細につきましては、現地取材レポート(基金だより46号)あるいは、下記、高木基金ウェブサイトの「市民科学者を訪ねて」シリーズをご覧ください。
http://www.takagifund.org/activity/2018/2018_philippines.html