たまあじさいの会 |
20090509公開ミーティング配付資料[pdf137kb] 20090509公開ミーティング配付資料[pdf137kb] 20090509公開ミーティング配付資料[pdf137kb] 20090509公開ミーティング配付資料[pdf137kb] |
|
濱田 光一 さん | ||
http://tamaajisai.net/ | ||
50万円 |
20090509公開ミーティングにて
20090509公開ミーティングにて
2008年12月の助成申込書から
日本には世界の7割、約1,700の大型ゴミ焼却炉があります。東京都にも23区で45炉、多摩地区で45炉の合計90炉あります。これらの炉は、年間300日以上昼夜24時間稼動、有害な重金属や化学物質を含んだ排気ガスを出しています。この排気ガスが東京の空を覆っています。
この国の大量生産・大量消費・大量廃棄、そして大量のゴミ焼却・埋め立てという、浪費システムとそれに伴うゴミの処理システムは、経済が行き詰った現在でもなかなか変換できません。この政策は、有限な資源の浪費、地球温暖化への加担、大気・土・水など周辺環境汚染、そして人間を含めた生物の健康と生命への深刻な影響など犯罪的な実態をもたらしています。
水源地などの山間地での新たなゴミ最終処分場の確保が難しくなってきた中で、行政のゴミ処理の先行的モデルとして、今まで埋め立ていたゴミ焼却灰のセメント化が、ゴミの循環処理「エコセメント」という名目で日の出町の二ツ塚処分場で2006年より開始されました。
この処理方法は、現在の経済システムとゴミ処理政策を存続させようとする政治的な力により、日の出町の先導的志向を踏まえて全国各地で実施されていく可能性があります。
私たちは、日の出町の「エコセメント製造工場の周辺環境への影響調査」活動を通して、汚染の実態の調査と記録、公害発生の抑制、公害発生への地域住民への警鐘、日本各地のゴミ処分場問題との情報交換、次世代への伝達と継承などに取り組んでいきたい。
また、市民の視点から「市民科学」の実践と組織化により、科学的であり、低コストで、継続的な市民の立場に立った調査可能な拠点作りに取り組んでいきたい。
そして、未来世代への負荷と負担を可能な限り少なくする現世代の責任に自覚的に取り組んでいきたい。
【 この助成先は、2008年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2008年度の助成事例 】
【 この助成先は、2010年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2010年度の助成事例 】
2009年10月の中間報告から
<汚染の実態を調査する>
エコセメント工場が本格稼動して3年が過ぎ、工場から大気へ排出された有害物質も累積的に周辺に堆積してきていると思います。堆積した土壌のダイオキシンや重金属の分析調査を実施しました。ダイオキシン値は33〜47pg−TEQ/gと異常値を示していました。現在は、雨水の分析を通して工場から大気へ排出され降下する物質の調査を継続的に取り組んでいます。
生態調査として、植物・野鳥・水生昆虫などの定期的な調査に取り組んでいます。樹木では、新芽などの壊死や異変、胴吹きの現象などが少しずつ増加しています。具体的な事象を調査・記録することに取り組んでいます。
<多くの人々の関心を呼び起こす>
多摩地区400万人の大多数の人たちは、日々の生活から出したゴミが目の前から消えてしまえば、ごみ最終処分場とエコセメント工場が、自分たちの水源である多摩川の水を汚染していることには無関心です。また、有害物質や重金属の含まれたゴミの焼却による汚染が深刻になっていることにも関心を示しません。人々の関心を呼び起こす活動にも取り組んでいます。
<市民の視点での科学に取り組む>
政権交代が行われたといえ、行政は情報を公開せず、癒着した調査会社が問題の発生しないことを前提に委託調査を実施しています。市民が自ら科学的な調査に取り組む必要があります。
水質についての調査を市民自らで取り組めるような施設と器具を整え始めています。どのような体制でどのように運営していくかを多くの研究者・若者の力を借りて検討していきたい。
2010年5月の完了報告から
11年目になる私たちの調査・監視活動は、試行錯誤を重ねながら取り組んできました。
調査活動は、処分場やエコセメント工場の周辺環境への影響を大気・土壌・水の分析調査、植物・野鳥・水生昆虫などの生態調査と記録を行っています。
科学的な調査活動に取り組むために多くの専門家や研究者の協力を得ながら取り組んできたが、大学に在籍する研究者でここ数年定年退官を迎える方が何人かおり以前のように研究室を利用しての分析などが難しくなり、分析専門機関に委託調査を発注することになり始めました。
学習、交流などの活動では、環境問題の根源にある日本の社会の問題やゴミ行政など大きな視点からの問題や現状の学習に取り組みました。いくつかのゴミ処分場問題の発生している地域での報告や交流などの取り組みでは、日の出の問題点、調査活動の内容、私たちが得た教訓などを伝えました。
調査活動全体を通して、環境指標としての大気・土壌・水の際立つた汚染の分析数値は現れませんでしたが、いくつかのデータが、自然界値ではあり得ない数値を示し始めていることも確認できました。
植物・野鳥・水生昆虫などの実態調査では、様々な異変の実態が見られ確認されました。汚染の「微量・長期・複合」という累積的な現在の公害の様相が、実態調査から見られました。
また、私たちが調査のためエコセメント工場周辺を歩く時、しばしば山間地としてはあり得ない異臭や刺激臭を感じることがあります。本格稼動以来4年近く、点検、修理期間を除く1日24時間、休むことなく有害な物質を排気しているエコセメント工場によって、確実に周辺環境汚染への影響が出ていることを感じます。
今後、まだ長期間の操業が予定されており、その累積的汚染は計り知れないものになることを調査活動から実感しています。