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泊原発の廃炉を実現させるための研究



グループ名 泊原発の廃炉をめざす会 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 小野 有五 さん
URL http://tomari816.com/
助成金額 80万円

泊原発の廃炉をめざす会編『北海道電力〈泊原発〉の問題は何か』(寿郎社)を2012年11月に刊行。

北海道各地で学習会、講演会などを開催。蘭越講演会「泊原発と活断層の危険、再生可能エネルギーの取り組み」(講師:小野代表、2012年8月20日)の様子

研究の概要

2011年12月の助成申込書から
 福島第一原発の事故を受け、これまで、どんな地震がきても、多重防御によって安全とされてきた原発の安全神話は完全に破たんしました。泊原発の位置する北海道の日本海側では、1993年の北海道南西沖地震(M7,8)によって30mの津波が奥尻島を襲っており、泊原発はきわめて危険な場所に設置されているといえます。このため、私たちは、11月11日、泊原発の廃炉を求める訴訟を札幌地方裁判所に起こしました。  北海道の日本海側での活断層とそれによって引起こされる地震や津波についての研究は、太平洋側に比べて著しく遅れており、北電は、これまでに活断層研究会(1991)などで認定された活断層の一部しか認めていません。そこで、本研究では、これまでに得られている海底の音波探査記録を詳しく分析し、活断層の評価を行うとともに、ほとんど調査されていない奥尻島や積丹半島での過去の津波堆積物や、地震性隆起を示す地形を調査し、それらがどのような活断層でもたらされたかを、断層のモデリングを行うことで明らかすることを目的にしました。  泊原発の訴訟では、活断層による地震動、津波の評価がもっとも重要な争点となることから、本研究は、そのためにきわめて重要な資料を与えることになると思います。  私たち、「泊原発の廃炉をめざす会」は、原告団・弁護団を支援することはもちろんですが、このような調査研究の成果や、裁判を通じて得られた「原発の真実」を広く人々に知らせ、廃炉をめざす世論をつくっていくことを大きな目的としています。今回の調査・研究の成果も、わかりやすいパンフレットにまとめ、それを使って、道内の多くの場所で講演会を開催して、一人でも多くの方がたに伝えていきたいと思っています。

中間報告

2012年10月の中間報告から
 泊原発は、従来、プレート境界がないと言われていた日本海側にあります。しかし1980年代から、日本海側では大きな地震が立て続けに起き、とくに1993年の北海道南西沖地震では、奥尻島に30mを超す津波が押し寄せ、大きな被害を出しました。本研究は、日本海の海底音波探査データや、奥尻島、泊原発周辺の地形・堆積物などを調査することによって、泊原発の危険性を明らかにしようとするものです。調査結果は、すべて泊原発の廃炉を求める訴訟の資料として活用することを目的としています。  まず日本海の海底音波探査データなど既存資料の再検討を行い、これにもとづいて、2012年5月28日には、札幌地裁での泊原発廃炉訴訟の第二回口頭弁論において、パワーポイントを用いた約30分間の意見陳述を行いました。これは裁判官に、泊原発のかかえる危険性を理解してもらううえで大きな効果があったと考えています。また一般市民にも泊原発の危険性をわかりやすく伝えるために、調査結果を発表する講演会・学習会を何度も行いました。この結果、2012年7月〜9月の第二次原告募集では、600人を超える方が新たに原告になり、原告数は、第一次とあわせ、1230人を超えました。8月には、奥尻島での現地調査を行い、南西沖地震の前にも、くりかえし津波が押し寄せていたことを確認しました。  これらの成果をもとに、提訴1周年となる11月には、弁護団とともに『泊原発はなぜ問題か?』という単行本を出版し、さらに多くの市民に泊原発の危険性を知ってもらい、早期の廃炉をめざしたいと考えています。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 今回の調査研究では、泊原発周辺の活断層について、これまでの知見の集大成を行いました。奥尻島で津波堆積物を調査し、これまでにも、北海道南西沖地震の津波に匹敵する大津波が少なくとも4回、起きていることを確認できました。残念ながら、原発の近傍にはこのような津波堆積物がたまるような地形がなく、まだ、過去の津波堆積物は発見できていません。これは今後の課題です。  これらは、泊原発の危険性を訴える上で、きわめて重要な成果であり、裁判だけでなく、一般への世論の喚起という意味でも大きな効果がありました。特に、高木基金の助成によって『北海道電力〈泊原発〉の問題は何か』(寿郎社)を出版できたことは大きな意味があったと考えています。  今後は、日本海の海底活断層について、変動地形学だけでなく、音波探査、潜水調査などによるデータを収集し、泊原発にとって重要な意味をもつ活断層について、さらに研究を進めたいと考えています。特に、地殻変動や地震動、津波の高さなどの推定を検討したいと考えています。  2013年度は、泊原発を再稼働させないために、泊原発の危険性を広く道民に伝えるとともに、原発を速やかに廃炉にし、再生可能エネルギーの開発や、過渡的には天然ガスなど電力の調整がやりやすいエネルギーへの転換、送電網の整備などをはかっていくことが、北海道の経済にとっても有利であることを訴えていきます。そのための学習会、講演会などを、できるだけ開く予定です。それに向けた資料として、新たなリーフレットなどの作成も予定しています。

その他/備考


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