研究成果発表会配布資料[pdf] |
||
山下 正寿 さん | ||
70万円 |
2010年12月の助成申込書から
いまだに未解明であるビキニ水爆実験による第五福竜丸以外のマグロ船と貨物船などの被災の実態と乗組員の健康状態を追跡調査し、乗組員や遺族の支援方法を研究する。
第五福竜丸と同じようにビキニ環礁周辺海域で操業し、「死の灰」を受けたマグロ船が21隻(東京入港時検査)も確認されながら、漁船員の検査は放置され、記録ものこされていない。
まず、これらの漁船員がその後どういう健康状態であるかを高知県太平洋核実験被災支援センター、平和資料館・草の家、安芸平和教育研究会、幡多高校生ゼミナールなどの協力をえて実態調査し、研究協力者とともに因果関係の立証となる日・米の公文書や日本政府の調査船の資料を解明する。
その上で、被災漁船員や遺族の為に可能な支援策を民間と政府双方にわたって専門家の意見を集約し、提案する。
2011年9月の中間報告書から
完了報告より
この研究の中心である高知県のビキニ被災漁船員の聞き取り調査(室戸市、高知市、幡多郡など)では、1988〜89年に実施した高知関係マグロ船乗組員の健康調査データをふまえ、その後の健康状態を中心に聞き取り調査を実施することができました。これによって、長期にわたる内部被曝の影響についての分析を専門医に依頼するデータが整いました。
昨年7月には、京都で「ビキニ事件から見た福島原発事故―低レベル放射能被災の分析―」と題してシンポジウムを開催し、「ビキニ事件と福島原発事故」を結ぶ内容で注目され、課題を明らかにすることができました。
高校生による調査活動を広げ、韓国・釜山の高校生と高知・幡多高校生ゼミナールが、幡多地域でビキニ被災合同調査を行い、昨年8月の「全国高校生平和集会」(長崎)でヒバクシャ問題について共同報告しました。また、福島の高校生平和グループを高知に迎え、学習交流会を開く準備に取り組みました。
韓国、福島の高校生との合同調査と交流が成功し、マスコミでも話題になり、翌年度になりましたが、福島・静岡・高知の高校生による韓国での被爆者合同調査へ結びつきました。
南海放送が制作したテレビドキュメンタリー番組「わしも死の海におった」のDVDを1200部普及しました。各地での自主上映会によって話題となり、NNNドキュメントでの全国再放送につながりました。放映は深夜でしたが、インターネット上で話題となり(その時点で、番組名をYahoo検索すると145万件ヒットしました)、引き続き日本テレビで映画製作に向けて発展することになりました。
自費出版した「ビキニ・福島被災報告集」は好評で、約1000部を普及しました。
今後も継続して「ビキニ事件と福島原発事故の関連調査と研究」に取り組みます。ビキニ被災船員の内部被曝については、「内部被曝問題研究会」と協力して分析します。また、これまでの調査をもとに、本の出版に取り組みたいと考えています。