穴あきダム特別調査チーム |
2009/9/27東京での成果発表会配布資料[pdf296kb] 2009/9/27東京での成果発表会配布資料[pdf296kb] 2009/9/27東京での成果発表会配布資料[pdf296kb] |
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遠藤 保男 さん | ||
70万円 |
穴あきダムの問題点1 益田川ダムに見る、上下流を遮断する構造
減少傾向にある日本全国の水需要
2007年12月の助成申込書から
我が国は、水源開発としてダム建設を続けてきた結果、全国的に需要を上回る水源を保有し、いわゆる「水余り」と言われる時代に入った。
現在、新河川法に基づき河川整備基本方針及び河川整備計画の策定が進んでいるが、河川整備計画策定時に見直されるべきダム計画の中には、利水目的を失ってなお中止されずに進められるものがある。
その際、ダム計画の存続を図りたい河川管理者は、従来の建設目的を利水・治水の多目的から治水専用へと変更し、ダム堤体下部に穴を開け、通常時は水をためず、洪水時のみ限定された治水効果を有する「穴あきダム」にするから「環境にやさしい」と宣伝するようになった。
しかし、(1)環境影響、(2)治水効果、(3)経済性のいずれの面からも、その有用性に対しては懸念がある。
そこで、先行事例の調査の他、河川工学者、河川管理者(国土交通省、自治体)、地域住民、市民団体などへの聴き取り、資料請求および分析を行い、また、穴あきダムへ変更する経緯、ダム建設の必要性、法的手続なども含めて、批判的な調査・検証を行い、「穴あきダム」化による無用なダム建設を許さないことが、本調査の狙いである。
調査結果は報告書にまとめ、関係団体、河川管理者、報道機関等に発表および配布する。
2008年9月の中間報告から
穴あきダム計画は、河川整備計画に位置づけられたものから事業者側が主張しているだけの段階を含め13箇所、北は三笠ぽんべつダム(北海道、国直轄)から、中止の可能性も非常に高い川辺川ダム(熊本県、国直轄)まで各地にある。
穴あきダム特別調査チームは08年3月に1回目の現地調査(足羽川ダム事業と辰巳ダム事業)を終えた。
また、事業者による穴あきダム実験を見学し、穴の上流側には流木除けの構造が設置され、下流側には魚道、および水の勢いを弱めるための構造が設置され、穴あきダムもまた川の自然な流れや魚類の降下・遡上の障害となることが、明白になってきた。
治水効果も通常のダムにも増して限定的である。
さらなる調査や関係者ヒアリングを進めていきたい。
2009年5月の完了報告から
穴あきダム事業においては、現時点までの調査により、治水、環境、手続の3点が問題点(仮説を含む)として抽出された。
1.治水:穴あきダムは、対応する洪水の範囲が限定的であり、下流の状況に対応できていない。流木などにより穴が詰まる危険性がある。
2.環境:ダム構造物による景観破壊、生態系(動植物)への影響、斜面崩壊、土砂堆積、およびそれらによる水質悪化の懸念がある。
3.手続:多目的ダム法から河川法へ根拠法が変更されることによる手続の簡素化、「環境に優しい」という情報提供(宣伝)により生じる誤認。
これらには、従前のダム問題と共有の問題と、穴あきダム固有の問題の双方がある。
今回、助成を受けて、現地調査、文献調査、研究者への聞き取りなどを行ったが、現時点では、最終的なまとめには至っておらず、調査は今年度も継続して行っている。
今後、さらなる現地調査、行政、関係者、専門家へのヒアリングおよび情報開示請求その他の文献調査などによる裏付けを行って調査を完成させ、その結果をもとに、報告集の作成、報告会開催等を行う予定です。