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遺伝子組み換えナタネの拡散を防ぐための名古屋、四日市港周辺の調査研究と活動



グループ名 遺伝子組み換え食品を考える中部の会 2009年度完了報告[pdf16kb]
2009年度完了報告[pdf16kb]
代表者氏名 伊澤 真一 さん
URL http://www.nagoyaseikatsuclub.com/
助成金額 65万円

GMナタネの自生状況(2007年3月7日 三重県四日市市国道23号線周辺にて)

カナダから7100トンのナタネを積んで入港した輸入船(2007年3月7日四日市港)

在来ナタネとの交配種(2008年3月30日愛知県豊川市)

2009年6月7日三重県津市内 RR・LL耐性(2010年6月2日DNAで確認)

研究の概要

2008年12月の助成申込書から
 遺伝子組み換え食品を考える中部の会(以後中部の会)は食の安全のため、遺伝子組み換え食品、BSE、学校給食などの問題に生産者・生協・共同購入グループ・流通・労働組合などが連携して取り組んでいくために結成したネットワークである。昨年に引き続き貴基金への申請を行いたい。  2004年6月、茨城県鹿島港周辺でGMナタネの自生が確認された旨の農水省による発表以来、中部の会ではナタネ輸入港である名古屋港と四日市港周辺のGMナタネの自生調査とその自然界への拡散を防ぐため、セイヨウナタネ抜き取り作業を行ってきた。  2008年度は貴基金より援助を得、活動にかかる費用の中でもっともウェイトを占めるGMナタネ検査キットの費用負担を軽減することが可能になった。今年、一般の参加者を募っての『GMナタネ抜取隊』を7月と11月に行ったが、11月には今まで危険をともなうため、抜取り駆除をしていなかった中央分離帯での作業も敢行した(国土交通省、四日市警察署の承認を得た上で)。そのため消費された検査キットの数も増している。  現在、中部の会の活動では現地調査のための交通費などの経費もすべて会員からの持ち出しとなっている。  今回は中部の会の活動のうち、GMナタネ調査、駆除にかかわる費用全般について基金申請をさせていただきたい。 【 この助成先は、2008年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2008年度の助成事例 】

中間報告

2009年10月の中間報告から
 2009年4月よりの概況:遺伝子組み換え食品を考える中部の会(以後中部の会と略す)では、昨年より貴基金を得、名古屋港と四日市港周辺、愛知県豊川市国道1号沿線でトラックによる陸路移送の過程でこぼれ落ち自生している遺伝子組み換え(GM)ナタネの実態調査とその駆除作戦『GMナタネ抜取隊』を行ってきた(それ以前の経過については省略)。  本年度、中部の会の活動で明らかとなった事例として次の2点を挙げておかなくてはならない。第1点として、愛知県豊川市内国道1号線西古瀬川付近で、新たにカラシナもしくはアブラナ科の作物とGMセイヨウナタネが交雑したものと思われる個体が確認された。昨年にもその直近で、在来ナタネとの交雑種と見られるGMナタネ(いずれもラウンドアップ耐性)が中部の会によって確認されている。また環境省による昨年の調査でも、四日市港より国道23号を南進、津市雲出川付近で在来ナタネとの交雑種とみられる除草剤耐性ナタネが確認されたことが発表されている。以前は奇異と判断していた二種類の除草剤(ラウンドアップとバスタ)に耐性の交雑ナタネも、ここ2年の『GMナタネ抜取隊』では今年度の第5回抜取隊を含め、すでに2個体が確認されている。これらの状況から、GMセイヨウナタネ自体の拡散と、さらに交雑による雑草化という懸念も加わり、我々中部の会の活動にも緊張を増す結果となっている。  第2点:なお今年度の『GMナタネ抜取隊』は6月7日、参加者84名の多勢を動員、三重県鈴鹿市より松阪市までの30kmの区間で行った。これは今年度、異常に多くのセイヨウナタネの自生が名古屋港、四日市港周辺で確認された結果による。現状から、残念ながら我々や関連製油会社による継続的な駆除活動に終止符が打てそうにない状況にあるといわざるを得ない。そのため、9月4日には関連製油会社との会合を持ち、現状の認識と今後の調査駆除活動におけるさらなる協力関係を確認した。

結果・成果

2010年5月の完了報告から
● これまで可能性に過ぎなかった「国内在来種」との交雑が現実のものとなった。四日市地域では、外見的にはブロッコリ−だがラウンドアップ除草剤耐性の株、愛知県豊川市内では在来ナタネとの交雑種、西洋カラシナとの交雑種を疑われるものが見つかった。 ● また、四日市地域では、異なる二つの除草剤(ラウンドアップとバスタ)に耐性のGMナタネが見つかった。これは本来、別個のアメリカ企業が開発し商品化しているもので、こうした重複耐性種は、両方が自生混雑することで互いに交配し出来たものである。 ● さらに、GMナタネには新たな問題が発生しつつあることが明らかになった。試験紙による簡易検査では陰性だが、DNAレベルでの検査(PCR法)では陽性を示す株が存在する。これは、自生による世代交代が続いた結果、除草剤耐性の組換え遺伝子(恐らくプロモーター:遺伝子のスイッチ)の一部が突然変異を起こしたものと思われる。これによって、組換え遺伝子は存在するが、簡単には検出が出来ないため、知らないうちに自然界や栽培作物に組換え遺伝子が拡散してしまう危険が生ずる。 ● 製油会社との話し合いで輸送トラックなどの改善は行われ、新たなこぼれ落ちは大幅に減少した結果、現在の自生の主な原因が過去にこぼれた種子の自生による世代交代が主な自生の原因であることも分かった。 ● 一方、GMナタネ自生の原因が不明だった名古屋港での発生源が、今年度の調査で製油所ではなく、家畜飼料会社であることが明らかになった。対策は今後である。 ● 2010年10月には、名古屋で生物多様性条約に関するCOP10とカルタヘナ議定書締約国会議MOP5が開かれる。GMナタネ自生も問題は、これらの国際会議での大きな課題になり、これまでの我々の調査結果が議論のための重要な材料を提供する。

その他/備考


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